デイサービスの送迎コストについてしっかりと考えた事があるだろうか?
デイサービスの送迎コストについて無頓着な経営者は意外と多いようである。
私の試算だと、
送迎に関する全てのコスト、
これには人件費、車両購入費用、車両維持費、燃料代など全てを含んだコストであるが、
ミニバンクラスの送迎で、
1日あたりの利用者様自宅間の
往復で約1,000円のコストがかかっている。
これは、車両の大きさによっても異なるが、
一番コスト高い送迎モデルは、
軽自動車が一日1便で運行するモデルである。
最も送迎コストが安いのは、
ハイエースなど大型バンを運転手1人で一日1便運航するモデルである。
その差はなんと1人あたり¥300円近くのコスト差となる。
もちろん送迎時間60分の間に2便で計合計6人の送迎を行うような、
軽自動車の送迎モデルであれば、コストは下がるものの、
それでもハイエースで一発送迎に比べるとコスパは劣る。
では、
介護度に応じた送迎コストの割合について考えてみたい。
例えば、
要支援1のケース。
基本単価を1,647単位、つまり16,470円とすると、
週1回の利用で1回利用の売り上げは¥4,111円。
送迎費用が1,000円であれば、送迎コストなんと
売り上げの25%に相当する。
さらに週2回利用であれば、1回あたりの売り上げは2,058円
送迎費用が1,000円であれば、送迎コストなんと売り上げの50%に相当する。
つまり、要支援1の方が週2回ご利用されると、
ほとんど、送迎コストに費やされる異常事態なのである!!
こんな状態で経営が成り立つはずはない!!
次に、要介護1(大規模Ⅱ)のケース、
7-8時間のご利用で基本報酬が595単位、つまり1回あたりの売り上げが¥5,950円。
送迎費用が1,000円であれば、送迎コストは売り上げの16%に相当する。
次に、要介護3(大規模Ⅱ)のケース、
7-8時間のご利用で基本報酬が702単位、つまり1回あたりの売り上げが¥7,020円。
送迎費用が1,000円であれば、送迎コストは売り上げの14%に相当する。
最後に、要介護5(大規模Ⅱ)のケース、
7-8時間のご利用で基本報酬が890単位、つまり1回あたりの売り上げが¥8,900円。
送迎費用が1,000円であれば、送迎コストは売り上げの11%に相当する。
介護度が重くなるにつれて、
基本単価が下がる分,
一見送迎コストが下がるるように見えるが、
これは大きな誤解である。
上記の計算は、
歩行が可能な利用者を前提としている。
しかし、要介護3~5レベルの認定になると、
車椅子送迎の対象となるのである。
すると、
車椅子対応送迎車での送迎コスト計算が必要となるため、
補正を加えた送迎コストの算出が必要で、
この場合、送迎コスト一気に急増する。
試算では、1,250円に増加する!
車椅子対応は25%のコスト増!!
車椅子対送迎コストで計算しなおすと・・・。
要介護3(大規模Ⅱ)のケース、
7-8時間のご利用で基本報酬が702単位、つまり1回あたりの売り上げが¥7,020円。
送迎費用が1,250円であれば、送迎コストは売り上げの17%に相当する。
次に、要介護5(大規模Ⅱ)のケース、
7-8時間のご利用で基本報酬が890単位、つまり1回あたりの売り上げが¥8,900円。
送迎費用が1,250円であれば、送迎コストは売り上げの14%に相当する。
つまり、車椅子対応の場合、送迎コストは上昇するのである!!!!
しかも、デイサービスの送迎を担当している職員は、
多くは介護職が中心で、介護のプロであっても、
運転のプロではないため、
送迎が与える職員へのストレスは計り知れない!!
デイサービスの送迎業務は、
送迎コストと職員の心理的ストレスの2つの側面を考慮しなければいけないのである。
送迎事故は、施設内で起こる事故よりもリスクが増大する。
さらに、事業者、利用者だけでなく、他の第3者も関係するため、
施設内の事故よりも複雑化し、社会的影響も大きい。
こうした事を考慮すると、
デイサービスの送迎業務に関する国の評価がいかに低いかよく分かる。
短時間型のサービスの経営が難しいのは、
こうした送迎コストを無視した集客や経営の影響も少なくない。
デイサービスの経営は、
送迎業務をしっかりと考えなければ、
あっという間に経営破綻してしまう。